八島湿原


世界の旧石器時代

転載元・http://rarememory.justhpbs.jp/hyouga/h.htm


 旧石器時代研究はヨーロッパが発祥で、その時代を前期・中期・後期と区分しました。その後期旧石器時代が4万年前から1万3千年前とされています。
 20世紀後半に、最初の石器製作は東アフリカを始原とすることが明らかになりました。ケニアのコービ・フォラ遺跡やエチオピアのウエスト・ゴナ遺跡の石器は約260万年前に遡ります。
 南アフリカ・スオートクランスの崩壊洞窟から多数の焼けた骨が出土しました。ケニア・バリンゴ湖近くのチェソワンジャでは人類最古の炉跡が発見されました。150万年から100万年前に遡る人類が火を使った痕跡でした。
 イアン・タッターソルは60万年前、中央ヨーロッパの氷河時代初期の比較的温暖な気候時代のヨーロッパ人とされるハイデルベルグ人骨に、喉頭(こうとう)の下降を間接的に示す頭骨(とうこつ)底の屈曲が認められ、咽頭が長く伸び複雑な調音が可能となり、分節化した音声を発する声道を備えていたと主張しています。
 ネアンデルタール人世界には死者を埋葬する風習が確実に広がり、精神面の発展も著しく、イラクの約8万年~6万年前のシャニダール洞窟Ⅳ号人骨は岩石に囲われ、遺体には花が添えられていた痕跡を留めています。北海道上磯郡知内町重内の湯の里4遺跡では、人骨は遺存していませんが、後期旧石器時代の墓と考えられる日本最古の土壙が発見され、琥珀や石製の小玉・垂飾などが出土しています。
 現生人類の出現は、後期旧石器時代を飛躍的に発展させました。その兆しは既に、南アフリカ・ブロンボス洞窟から約7万5千年前の骨器で幾何学的な文様が掘られたオーカー(赤鉄鉱)や、巻き貝を集め、孔を穿つビーズ飾りなどが出土して明らかになりました。ドイツ南西部のシュヴァーベン地方の諸洞窟では、3万5千年前頃の半人半獣のライオンマン・マンやマモス牙製の動物彫像と、なんと笛が発掘されました。
 フランス最古期の洞窟壁画は南部アルデシュ県の3万2千から3万年前のショーヴェ洞窟の壁絵です。その総数は3千個を超え、分かっているだけで260の動物画があり、描かれている動物は13種類あり、その中にはフクロウやハイエナや豹など、これまでの氷河時代の壁画には殆ど見られない動物までも知見できました。単なる装飾的遊戯ではなく、シャーマニズム的な宗教的祭祀文化が既に形成されていたようです。








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